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公益法人会計について





1.公益法人とは

わが国の公益法人は、1896(明治29)年に制定された民法第34条によって、
「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」と規定されています。
この後、「祭祀、宗教」に関するものは宗教法人、「慈善」に関するものは社会福祉法人及び医療法人、「学術、技芸」に関するものは学校法人として規定するのが妥当であると思われる内容で、各々の法が制定されています。したがって、一般的に公益法人といわれているものは、民法第34条によって規定されたものより、祭祀、宗教、慈善、学術、技芸を除いた「その他公益に関する」社団法人又は財団法人です。



公益法人会計の必要性
公益法人は本来営利を追求しない法人なので、どのくらいの利益が上がったかなどを詳しく調べる必要がないと思われるかもしれません。しかし、法人の目的に賛同して資金を提供した人や、補助金を交付した国や公共団体に対して責任を負う必要があります。また、団体を運営していく資金の流れを管理することによって、本来の目的である公益事業を遂行していく上で、財政的に支えていけるかどうかにつながります。


2.営利企業とは

株式会社

株式などの有価証券を発行し、資金を集めることができます。多くの人から資金を集める募集発起と、家族や知人など限られた者が資本金を出し合う発起設立とがあり、発起設立の場合は一名でも会社を設立できます。最低資本金として
1,000万円が必要です。

有限会社

株式会社と同様、出資金を集めることができますが、資本金は
300万円以上と、株式会社に比べて緩和されており、設立手続きも簡素化されています。また、設立後も株式会社のように決算書の公告の義務がありません。

合名会社

小企業や家族経営によくある形態で、無限責任を負う出資者だけで構成されています。資本金の規定はなく手続きは容易です。


合資会社

合名会社と似ていますが、無限責任の出資者と有限責任の出資者とで構成されています。無限責任の出資者が経営を行い、有限責任の出資者が資本家として参加するのが一般的です。

◎現在では、日本国内の営利企業のほとんどが株式会社か有限会社です。これは株主や社員の有限責任性によるものが大きいといえます。


有限責任と無限責任

有限責任とは、会社が倒産に至ったような場合、出資者が出資した範囲内で責任を負うことをいいます。一方、無限責任とは負債などの金額について、返済などの責任を全面的に負うことをいいます。

3.企業会計とは
会計は多数の利害関係者に重大な影響を及ぼすので、法律の規制を受けることが多くあります。特に商法、証券取引法、法人税法が、わが国の企業会計実務を規制しており、このような法律に準拠して行われる会計を制度会計といいます。
また、計算書類規則(法務省令)、財務諸表等規制(大蔵省令)、法人税法施行令等を遵守しなければなりません。
しかしながらこれらの法規は、それぞれの目的や立場を異にしており、期間損益の算定を目的とする企業会計の基準としては不十分なのです。
そこで「企業会計原則」という企業会計の一般的な行為基準が定められています。


公益法人会計と企業会計の相違点
公益法人会計は協議会によって“公益法人会計基準”が、企業会計は商法その他で“会計原則”が制定されています。一般原則を要約すると以下のとおりになります。


公益法人会計

1.予算準拠の原則

2.正規の簿記の原則

3.真実性及び明瞭性の原則

4.継続性の原則


企業会計

1.真実性の原則

2.正規の簿記の原則

3.資本と損益の区別の原則

4.明瞭性の原則

5.継続性の原則

6.保守主義の原則

7.単一性の原則




〜共通項にある相違点〜


T 真実性の原則

企業会計では、利害関係者に真実な内容を開示しなければなりません。
公益法人会計では、社会的信頼や賛同者へ真実な内容を報告するために開示しなければなりません。


U 正規の簿記の原則

正規の簿記とは、会計がすべての財産の変動を把握し、複式簿記により記録、計算され、
「網羅性」「証拠性(検証性)」「秩序性」「誘導性」が求められることです。
正規の簿記の原則は、両会計ともそれほど異なった点はありません。

V 明瞭性の原則
企業会計では、経営責任者が会社所有者に対して責任を果たすために明瞭な開示が求められます。公益法人会計では、公益活動に賛同、協力してくれた人々の為にも、特に善意の寄付金を受ける場合には明瞭性の原則が求められます。


W 継続性の原則

企業会計では、会計処理の多様化、期間比較性の確保、利益操作の排除などの理由により求められます。
公益法人会計では、期間比較性の確保、採算計算の正確化、経営管理の指針などの理由により求められます。営利を追求しない法人なので、利益操作は関係しないとして触れられていません。
◎計算書類の表示方法は両会計とも継続性が求められます。



〜公益法人会計にのみ求められること〜


T 予算準拠の原則

公益法人会計では、運用収益や費用支出をある程度予測できることと、法人存続・維持のためには採算を重視されるので、予算が必要とされます。さらに、予算は経営活動の指針であり、特に予算の編成そのものが経営活動の評価となるのです。それに対し企業会計では、営利が目的ですから、損益計算によって回顧的に経営活動を評価します。予測外の収益・費用が発生することが多く、目標やノルマといったものはあっても、事業すべてに対する強い拘束力のある予算というものは存在しません。
NPO法人においては、平成155月に予算準拠の原則は規定から削除されました。



〜企業会計にのみ求められること〜

T 資本と損益の区別の原則

公益法人には資本という概念がありませんので、会計基準でも触れられていません。


〜両会計に求められること〜

T 保守主義の原則

企業会計において保守主義の原則が求められるのは、会計上のさまざまな場面で慎重であるべきだという考え方ですが、公益法人に関しても財政に不利な状況が起きる場合に備えて健全な会計処理を行うことが必要だと考えられるでしょう。

U 単一性の原則
一般的に単一性の原則とは、項目の区分や配列などの形式は、目的に応じて形式を変えることは差し支えないが、売上高の計上額や預金残高が目的によって変動してはならないということです。企業会計において、総会や理事会用に財務諸表の余剰を増やすような操作や、税務申告用の損益計算書の利益を減らすような操作をするのは当然認められません。公益法人会計においても、財務諸表は信頼できる会計記録に基づいて作成されたものであり、政策の考慮のために真実の表示をゆがめてはならないと考えられます。


5.公益法人会計基準の適用

「公益法人会計基準」は、すべての公益法人に適用することを原則としていますが、学校法人や医療法人等で特別の法令の規定があるものや、特別な形態をとり特殊な事業を行う為、主務官庁が本基準以外に一般的な会計基準によるべきであるとしたときは、適用しないことができることになっています。実際の会計処理状況は、公益法人会計基準を完全に適用している公益法人が69.8%、収益事業を行っている部分に企業会計を適用している等、公益法人会計基準を一部に適用しているものが19.9%、企業会計を適用しているものが4.2%、その他(官庁会計等の会計基準を適用しているものが6.0%となっています。(平成14年版公益法人白書)
公益法人会計基準を完全適用 公益法人会計基準を一部適用 企業会計基準を適用 その他 合計
法人数 18,285 5,218 1,097 1,583 26,183
比率 69.8% 19.9% 4.2% 6.0% 100%

6.NPO法人特有の会計三原則

NPO法人の会計は「正規の簿記の原則」「真実性・明瞭性の原則」「継続性の原則」で行うという規定があります。(特定非営利活動法人促進法第27条)
「正規の簿記の原則」とは、“複式簿記または単式簿記にて正しく記帳すること”です。
「真実性・明瞭性の原則」とは、“財産目録、貸借対照表及び収支計算書を、会計簿に基づいて真実な内容を明瞭に表示すること“です。

「継続性の原則」とは、“会計処理の基準及び手続きを、みだりに変更しないこと”です。
但し、正当な理由があれば、変更することができます。


7.区分経理

NPO法人が行う事業は「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」に区分されます。規定により、この二つの事業の会計を区分し、決算書類(財産目録・貸借対照表・収支計算書)も別に作る必要があります。(特定非営利活動促進法第5条第2項)


8.事業費と一般管理費

事業費は、法人の目的とする本来事業のために直接かかった費用です。
一般管理費は、役員報酬、法人事務所の賃借料、会計管理業務など法人を維持する為にかかる費用です。NPO法人の会計では、支出を事業費と一般管理費に区分することが望ましいとされています。
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